日韓美術交流展2019 を終えて

JAES 会員 宗 由美子(京都市在住)

 昨年11 月19 日から24 日まで、京都市内の2会場(京都市国際交流会館、JARFO 京都画廊)で日韓美術交流展2019 京都が開催されました。

 私は、主催のJAES 会員として、また、後援団体である京都アートカウンシル会員として、この展覧会の運営に関わってきました。

 韓国、忠清南道公州市と京都市は世界歴史都市連盟の加盟都市ということで、京都市国際交流会館は協力的に対応してくれました。また、JARFO 京都画廊の母体である京都藝際交流協会は、長年、韓国の芸術家たちとは様々な交流をしている団体なので、今回いろいろご協力くださいました。

 この展覧会は、長年、公州市の作家さん達と日本の作家さん達が多数参加され、芸術を通した民間交流をしてきていますが、今回は昨今の日韓政治情勢が悪化している中、果たしてどれくらいの出品があるか心配でした。結果は日本側が47名、韓国からは25 名の出品となり、両会場とも良い展示をすることが出来ました。

 また、韓国作家さん達が何名くらい来日されるかということも心配でした。2017 年に東京で開催された時は、韓国から沢山来日されていましたが、今回は3名にとどまりました。やはり、韓国の作家さん達としても、来日することへのためらいがあったそうです。日本に来たら、ひどい目に遭うのではないだろうか等の不安があったようです。私が2018 年に公州へ行った時に、いろいろお世話してくださった女性作家さん達に京都でぜひとも再会し、今度は私があちこちご案内したかったのですが、今回は女性作家さんがどなたも来日されず、とても残念でした。 期間中、韓国作家さん達と私たちは、宇治川の天ヶ瀬ダムのたもとにある尹東柱(ユン・ドンジュ)の詩碑、立命館大学平和ミュージアム、また京都藝際交流協会と縁が深い、京都王藝際美術館などを訪問しました。良い時間を過ごすことが出来たと思います。

 また、宇治に行った帰りには、酒どころの伏見で月桂冠の酒蔵見学をしたり、おいしいものを飲んだり食べたりし、楽しく過ごしました。(おいしいものを飲んだり食べたりは連日していました…。)その中で思ったことがいくつかあります。ひとつは、『作家は作品で交流する』とは言っても、やはりコミュニケーションに語学力は大事ではないかということです。今回、東京からお越しだった篠原さんや池田さん林さん、そして私が韓国語で通訳のようなことをしていましたが、各作家さんが「通訳」なしで直接会話できると良いのになぁと思いました。韓国語と日本語は文法的にもよく似ているし、同じ漢字熟語が多いので、以外と簡単ですよ。ぜひ、韓国語を勉強してほしいです。 

 それから、この展覧会は、当初は日本美術会が主催されていました。今回、京都の日本美術会会員作家さんも何名か出品されましたが、上記の各地訪問などには同行いただけず残念に思いました。さて、楽しく交流した時間もあっという間に過ぎ、来日してくださった金明泰さんたちが帰国される時となりました。実は、金さんも、初めは来日に懸念を抱えておられたそうですが、滞在された間に気持ちも変化されたようでした。このような時期であったからこそお互いのきずながより深まったと思います。私たちは、笑顔でまたの再会を誓いました。