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大野恵子展 —小さきものー をみる

大野は不思議な感性の持ち主だ。こういう感覚を持っているのは女性に多い、命を生み育てる女性特有な感覚ではないだろうか。
 大野は小さな生き物などに目を向ける、その命を温かく見守る、昨年あたりから画面の中に人の顔がでてきた、今回もやや大きめの絵で二点あった。限りなくいとおしく人間をとらえていたい、そんな気持ちなんだろう。

 線による画面構成と暖色と寒色をうまく使って、最小限の色を薄く塗り重ねて絵が重くならないような仕事だ。その結果、ニュアンスに富み幅ができて、味わいのある不思議な絵となるのだ。多分、彼女なりの計算があるのだろう。しかし大野には全く気負いが感じられない。どこまでも自然体である。これってすごいことだ。
 絵が自然に出来るわけではない。大野の意志と感覚がそうさせるのだ。彼女は結婚し子供が生まれた、現在小二と四年の二人の母親だ、まだ子供は小さい。この間、絵はあまり描けなかっただろう、しかし、いくらか余裕ができて本格的に制作を再開し個展を開くまでになった。私が不思議に思うのは結婚以前と以後というか現在、そのスタイルが全く変わっていないことだ。これもすごいことだ。
 子供を育て、ダンナの世話をやき忙しい日々の生活、そんな中で一層命をいとおしく思う気持ちが強くなって絵を描いているのだろう、これはすごいことだ。


(東京神田檜画廊[12,6,18~23]に於いて)2012,6,21

新美 猛