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君の指は、僕の指。 君の体は、僕の体。
君の舌は、僕の舌。 君の涙は、僕の涙。
君の愛は、僕の愛。 君の悦びは、僕の悦び。
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仲良く一緒に生きてきたのに、食料がないと食べてしまう。
なんだかよく分からないけど、一緒にいる。
消化してしまう = 栄養になってしまう
体内共生 コンプレックス生命体
細胞内共生 / 細胞外共生
経口感染 経卵感染 卵巣感染
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世界のすべての風景が変わってしまった。すべてが悲しげに
くすんだ青白い灰色で、ポタポタと水が滴り落ちている。
音も小さくくぐもって、妙に静かだ。遥か遠くに音が一本の
糸のように延びていて、その先の世界が見えない。
悲しい音。余韻が長く長く続いている。
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ちやほやされて甘やかされて、
いい気になって無邪気にはしゃいでいたら、
突然、置き去りにされた。そこら中走り回っても、
叫んでみても、君はいない。
暗い風が吹きすさぶだけ。見渡す限りなんにもない。
ただ大地と空だけの、からっぽの世界。
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僕は君から離れるために、ものすごい早さで疾走する。
君に心を残さないために、
君の事を忘れるために、体中涙でぐちゃぐちゃになりながら、この星を強く蹴りながら、一直線にこの星を駆け抜けて、オーロラの向こうの世界へ飛び込んでいくことだけに集中して。
君とは別の世界へ。
僕が君から離れていく。
・・・・・でももしかして、そこは君の中?
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僕たちが出会った事がすべての不思議。僕たちが出会った事がすべての始まり。
そして僕たちはもう何百年も、あの頃のまま、抱き合いながら暮らしている。
でももしかしたら、もっと昔、カマクラの海岸で僕たちは出会っていたかもしれないね。
そして一瞬、じっと見つめ合っていたかもしれない。君がはたち、僕が5才の頃。
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君がどこかに隠れてしまってから、僕は毎日必死になって君を捜している。
写真のなか、ノートのなか、部屋のなか、ベットのなか、カップのなか、本のなか、洋服のなか、帽子のなか、引き出しのなか、夢のなか、僕の体の一番深いところ、
君がゾンビでも、今ならだいじょうぶ。きっとだいじょうぶ。悦びの涙で抱きしめてあげられる。
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生きていて、今一番の楽しみは、死ぬこと。そうしたら、君と同じ成分になって、君が僕を待っているそこで、二人また混じり合える。ゆっくりおいでと言った君とまた一緒になれる。お互いの分子と分子をこすり合わせて、僕たちは何を思うのだろう。
さあ、桜の花よ、悦びの雨にぐしょ濡れになって、狂ったように咲け。絡み合った骨をしっかり抱きかかえて。とろりと甘い養分として。
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心情的には高校生の頃とずっと変わらないねって、二人で言っていたのは、ほんのちょっと前のこと? 生活感がないとか、永遠の少年とか言われながら。
男女が愛し合うのに、大人でいる必要はまるでない。ただ君が好きで、僕は生まれた時からずっと君が必要だったんだと思えればいい。どんなことがあっても、君だけは手放したくないと。でもやがてある日、突然老いはやって来て、それは体だけでなく心も蝕んでいく。もう二人は徐々に幸せな子供ではいられなくなる。軽やかな足取りが重くなり、熱い愛が穏やかになり、夕暮れに残った日だまりの中に取り残されて、 二人はもう子供ではないことにやっと気が付くのだ。やがてその日だまりも小さくなり何も見えない闇がやってくる。だからその時は僕を君の中に隠して。そしていつか又君の細胞が甘く溶け出す時に、きっと僕は君の悦びを、僕の悦びと感じるようになるから。
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私は彼については何も知らない。私たちはただ愛し合っていただけ。彼は私に何も語らなかった。彼の本質とか、信念とか。そんなもの彼にあったんだろうか。加えて私は見事なまでの記憶喪失。昔の写真を見ても、こんな事あったんだと思い、タンスの中を見ても、こんな服あったっけと思い、こんな事あったでしょとか、こんな事言ってたよとか、まるで記憶になくて、冤罪なんか簡単に陥りそう。だから昔の記憶はただ愛し合っていたことだけ。私は彼にしがみついて、溢れるばかりの彼の愛に溺れそうなって いた。(だからここ一年半の記憶なんて、私にはまるでない。・・・・・悲しいほどの 記憶喪失)
池田良
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