私が出会った「美しいイスラームの世界」

※美術運動141号(2014年3月発刊)


「私はイスラーム圏が大好きです。」

 そうお話しすると、残念ならがほとんどの日本人は「え~っ!?イスラーム圏って怖くて危ないところでしょう?過激なテロとか、女性が虐げられているところでしょ?そんなところのどこがいいの??」といわれます。

 

 ところがこのような印象とは全く違った、美しく素晴らしいイスラームの世界に触れ、この国々を訪ねることで私はすっかり「美しいイスラームの世界」にはまってしまいました。

 

 1本のTV番組がきっかけでした。モロッコを特集した「モザイクタイルに魅せられて。カ」サブランカに多くの人々が憩えるモスク(イスラム教の寺院)を建設している最中のドキュメント

で、エネルギー溢れる独特の世界、美しいモザイクタイルの世界が広がっていました。このモザイクタイルの美しさに魅せられて、1993年に初めてのイスラームの国、モロッコを訪ねました。

 

 美しいモザイクタイルへの感動とともに、1日5回のお祈りへの呼びかけ「アザーン」が響く地、活気に満ちた商店街スーク、エネルギー溢れる生き生きとした人々が暮らすこの国にすっかり魅せられ、モロッコをきっかけにイラン・トルコ・チュニジア・シリア・ヨルダン・レバノン・ウズベキスタン・イエメン・エジプト・サウジアラビア・オマーン・アラブ首長国連邦を訪ねました。

 

 物質的に豊かであっても、なくても心温かで、おもてなしの心を持った平和的な人々、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで生き生きとした表情、地に足のついた存在感のある笑顔や表情をしています。

 

 私は、イスラームの世界のほとんどすべてに魅せられたのですが、特にこのパワー溢れる人々に魅せられました。彼らと出会い、撮影することでコミュニケーションをとり、喜びや楽しさといったパワーをもらっています。

 

 私が写真展を開催しようと思ったのは、3つのことからです。

 

 1つ目は、子どものころから世界平和につながる社会貢献活動をしたいと思っていたこと。

 

 2つ目は、イスラームの世界の国々や人々に魅せられて、この国々と人々への誤解をなくし、本当の素晴らしさを伝えたいと思ったこと。

 

 3つ目は、近年日本では物質世界偏重により、悲しい事件が増えています。「心の大切さ」が問われる時代になって来ました。生き生きとした表情の写真をご覧頂くことで、「本当のは幸せと何か?」を考えるきっかけになれば、そういう思いで写真展を開催しています。

 

 笑顔から笑顔が生まれ、心地よさや温かい心が生まれ、親近感を持つことができる、私はそう考えます。

 

 建物や遺跡、風景も勿論素晴らしいのですが、そういった写真はすでに多くの写真家が発表してきました。イスラームの国々の最も少ない情報、それは、普通の人々の生き生きとした豊かな

表情でしょう。

 

 私の写真は、生き生きとした表情、笑顔のポートレイトが中心です。これらをご覧頂くと、まるで旅をしているかのように人々との感動の出会いを体験し、心に温かな感情が生まれます。その国を訪れたことのある方々は、懐かしさとともにその国や人々の素晴らしさを思い出すことができ、訪れたことのない方々は「こわい、危ない」と誤解していたのが、目からウロコの「素晴らしい世界と人々との出会い」になります。

 

 私はイスラームの国々を旅し、生き生きとして、おもてなしの心を持ち、心優しい平和的な人々に沢山出会いました。どの国でも、私が日本人だと知ると、「日本人は素晴らしい!!」といってくれました。又、困った時には、何度助けてもらったか分かりません。お茶やお菓子やらごちそうになったことも数え切れません。多くの日本人はイスラームの国々について情報量が少ない為、誤解をしています。しかし、日本や日本人に対して、私が訪れたイスラームの国々の人々はとても親日的で好意的です。

 

 それは、日本が敗戦から一生懸命努力をしたことにより経済復興したこと、車やカメラや電化製品など優れた製品を作り出していること、古い歴史や伝統があること、国をはじめ多くの日本の企業や日本人が各国へ援助や地道な活動を行っていること、そして何より戦争をしないという憲法があることです。

 

 また、日本人が本来持っている真面目さや誠実さ、家族を大切にする心、思いやる心、おもてなしの心、これらはイスラームの国々の人々においても大切にされていることです。実は同じようなことを大切にしているのですね。そんなことを感じて頂きながら、「世界平和」や「本当の幸せとは何か」について考えるきっかけになる写真展を行っています。

 

 私は政治的なことは分かりませんし、政治的なことに関わるつもりはありませんし。かし、「文化」で心をひとつにすること、「世界平和」を実現することは可能だと信じております。

 

「世界平和」を願う写真家 天野恵利 あまの えり

生き生きとした愛に満ちた人々の姿を伝えていくことが「世界平和」につながると信じています。