パリで初めての個展を終えて

2013年9月27日(金)から10月10日(木)までパリのマレ地区にあるGalerie Thuillier(住所 13 Rue de Thorigny)で個展を無事に終えました。会場の写真は左の通りです。10月1日(火)のオープニング・パーティーには200人以上の来廊者があり、期間中の総来廊者数は、300人以上になりました。個展の準備段階から皆様より色々とアドバイスを頂きましたこと、大変感謝しております。今後のために、前日の展示作業から、最終日の片付けまでの2週間を、簡単にまとめてみました。

1 .展示作業

 この画廊は2週間単位での貸画廊であるために、展示作業は前日木曜日の夜7時から開始されます。但し、予想していた通り、ギャラリー・オーナー(Denisさん)一人で展示準備から片付

けまでの作業を行うために、9月26日(木)の午後7時には前の人の作品が未だに壁に掛けられたままの状態でした。私の今までの経験から、今回の作品展示作業には二人で行って2時間で

終わる予定でしたが、自分の作品が翌日の開廊時間にしっかりと並べられている状態にこぎつけたのは夜中の2時でした。それから近くのホテルに戻って初日の人の出足をドキドキしながら寝ました。初日は、金曜日の午後1時から人が入れる状態にしましたが、この時間は多くの人が働いている時間帯ですので、ギャラリー周辺を歩いている人はあまりいません。それでもパリでの大々的なファッション・ウィークが始まっていたため、午後7時の閉廊までには10人ぐらいの人が作品をゆっくり見てくれました。パリに到着して英文で準備した説明書を、30年以上の付き合いのあるフランス人にフランス語に翻訳してもらいましたので、中に入って作品を見るのに非常に役に立ちました。道を歩きながら中を見ていった人はかなりいました。

 

2 .オープニング・パーティー

 招待状は1,000人以上に出したので300人は来てくれるだろうというギャラリーのDenisさんの説明を聞いてはいたものの、午後6時過ぎから始まるというオープニング・パーティーの

出席者の出足はあまり良くありません。でもシャンペン、ワイン、ジュースなどの飲み物やおつまみの量を考えると200人以上は来ても問題ないくらいの量が準備されていました。次の写

真は会場風景と、来廊してくれた友人たちとのスナップ写真です。遠くベネズエラからの友人もいます。

 午後7時過ぎには既に満員状態で、ギャラリーの中に入れず外で話す人もいる状態でした。しかも作品を見てくれて、説明を丁寧に読んでくれるお客さまも多く盛況でした。一番の人気

は「つながる手」でした。入口から遠く見える正面にあるために、一見すると壁面タイルの素材で、近くで良く見るとヒトの影の写真とわかり、しかも4人の影が確認できます。ヒトの作る幾

何学模様が珍しがられました。Denisさんも、色々な人に作品の説明をしてくれました。次の写真が「つながる手」です。

 

 新しい挑戦であった、着物に貼った写真による幾何学模様の作品は、大小の影の模様があるために、ヒトの影の写真とはなかなか認識できませんでしたが、着物の色と写真がつくる模様とのマッチングはうまくいっているとのコメントがありました。着物のT型が連続して面白い模様を作りました。

 

 


入口の近くに掛けた「凧上げ」(二つの日本凧と自分の影)にも質問がかなりありました。日本凧の模様の一部で、鯛に乗った子供にからまる青い波の模様が、作品にアクセントを与えてい

ました。フランス人が入口の作品「凧上げ」(以下の写真)を最終日の前日に購入してくれました。


 会場は人で一杯でしたが、日本の個展会場でやっているような来廊者参加型の「ヒトマンダラin Paris」の新しい作品作りもできました。日本では写真に撮られるときの自分の見せ方、ポーズの取り方に慣れている人はごく少数でしたが、パリの人達は自分をうまく見せるためのポーズを心得ていました。参加者全員が、まるでプロのモデルの様な感じでした。



 上の写真は、一人用に作製した「ヒトマンダラ」のコラージュ作品を集めたものですが、着ている色の組み合わせも面白く、日本での作品とは違ったイメージになりました。連日連夜、ホテ

ルでこれらの作品を完成させて、メールに添付して送信しました。翌日にはお礼のメールが届いていました。準備した飲み物はパーティーの終わりごろにはすべて無くなっていましたので

来廊者の方々は、楽しんで頂けたと思います。

 

3 .最終日の片づけ準備

 ギャラリーは午後1時~午後7時までですが、多くの人は午後5時以降に訪れます。閉まる直前に来たスペインからの写真家とその彼女は、僕の作品を気に入って頂き午後8時ごろまでい

ました。Denisはお客様第一主義ですので「閉廊時間ですからそろそろお帰り下さい」ということは一度もありませんでした。いずれにしても片づけ作業は10時にはすっかり終わりました。そしてその後、Denisさんは翌日からの個展の準備を始めました。打ち上げの時間もなく、後日お礼に行ってまたの再会を約束しました。

 

4. 時間が経って考えが変わったこと

 オープニング・パーティーが終わると、毎日Denisの愛犬(ゴジラ)を連れてきてお店番をさせていました。はじめはギャラリーに飼い犬を連れてきて「あれっと」と思っていましたが、

ギャラリーに来る人達も犬を可愛がっている様子を見て、パリでは人の数より犬の数の方が多いのだから、かりにギャラリーに犬がいてもおかしくないのだという風に考えが変わりました。ギャラリーの始まる時間の午後1時にDenisが来ていない日もありました。でも平日のこの時間帯にギャラリーに人が来ることはなく、逆に午後7時を過ぎてもギャラリーを開けて人を迎え

入れるDenisのやり方に、なるほどと納得しました。物理的にギャラリーの片側のドアーを開けて、通りすがりの人が中に入りやすいようにしているやり方に、ギャラリー・オーナーとしての

哲学を感じました。ここを利用しているアーティストにこのギャラリーの良いところを聞くと、 「Denisさんの人柄です」という答が返ってきます。2週間一緒にいて、日頃は底抜けに明るいDenisさんですが、その行動の奥に潜むギャラリー経営者としての苦労を感じました。


岩橋 格 いわはしいたる     (なごみデザイン研究所)