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原子力サブカルチャー6

村田訓吉むらたくによし( 日本美術会会員)

 原爆や原子力の恐怖、去年は北朝鮮のミサイル開発とトランプのチキンレースの1年でした、なんと今年の文字に北が選ばれたのもこれも十分サブカルチャーかもしれません、いいえメインカルチャー?もうどっちがどっちかわからないそんな時代になってきています。

 核戦争の恐ろしさを描く漫画で仮面ライダーでおなじみの石ノ森章太郎氏の作品、1967年少年マガジンに特別企画で掲載された「そして誰もいなくなった」という漫画があります。

 アガサ・クリスティーの小説で同名の物がありますが、全く別物のオリジナルな作品です。内容は4コマ漫画あり絵物語ありストーリー漫画ありの6つもの話しが同時進行していき、その話の一つに中国・アメリカ・ソビエトの核戦争への道が書かれています。人々は核戦争の恐怖も知らぬ間にそれぞれの人生を悲しみ喜び生きるのです。そしてそのお話が同時期に結末を迎えた時、または話の途中で核戦争が起き世界中が死の灰で終わり誰もいなくなるという希望のない話なのですが。当時冷戦下であり1962年にはキューバミサイル危機があり、1967年には中国の初の水爆実験があり、その影響が強く核戦争の恐怖に影響を与えられたと感じられずに入られません。どんな状況でも人は生きていくが核戦争は人類全て地球の生態系も壊しかねないという話です。今でもこの作品に関してはファンも居ますが、現在に置き換えた時また新たな原案は石ノ森章太郎で脚本は誰々というかたちになるのではないでしょうか?北朝鮮とアメリカのチキンレースはこの先どのように原子力サブカルチャーになるのでしょう。余談ですが自分の書いた「くろいさんたくろーす」という話も実は最後に白い灰が降り積もり世界中が白く染まりサンタクロースも愛する人々もクリスマスソングを聞きながら死んでいくという裏話もあります。核戦争といえば全てが滅んでしまうという設定が多いですね。それには確かな立証と事実があるのですが、中にはわずかな人々が生き延びて未来に向けて生きていくという話もあります。

 さて核戦争後の世界といえばやはり、あれですね。そう「ターミネーター」です。これは作られているうちにドンドン話が未来のロボット戦争に流されて最初の核戦争の危機を伝えたいという面がドンドン希薄になっていってしまいました。もともとエンターテイメントな作品のたどる結果だとは思います。然し今また振り返るとAIと人間そして生態系を破棄する原子力、それらの結びつきを感じるとターミネターや原子力に関しては詳しく書かれていませんでしたが、キアヌ・リーブスが主演をしたマトリックスなのも、もしかすると核戦争後世界のAIと人間の戦争を描いたのかもしれません。

 エンターテイメントのたどる先のテーマの希薄さということでは同じようなことはゴジラでも言えますがシンゴジラのテレビ放送もあり再度見られた人もいるでしょう。色んな評論がされる映画ですが、ある著名な女性の言っていた言葉が心に響きました。「政府側の話ばかりで不安や恐怖に抱かれる市民側の目線が何一つ無い恐ろしい映画だ」まさに今の日本そのものを現している言葉というかそのものですね。緊急事態宣言がなされた時、現時点でさえ官邸指導が中心のこの国、官邸指導という独裁の中まさに北朝鮮と米国の核ミサイルを玩具に使い核戦争を煽り高額な兵器をアメリカから買わされながらも自己の保身と政権の維持しか考えない自己ファーストな官邸指導こそシンゴジラの言わんとしたことだったのかもしれません、アメリカの最高の傀儡政権が自民党だと言う事を表現しようとした映画だとも認識できます。

 文化は分化すると言います。原子力に関する文化もさらにサブカルチャーを超え分化していくことでしょう。そして大事なことはリアル世界との幸せな調和と協調です。

 核戦争や原子力問題を扱うあらゆるジャンルの表現活動が原子力サブカルチャーとなり未来への足がかりを作ること、核兵器にとどまらず原子力全てにおける問題を世界中の人達に伝え、一瞬一秒でも早く原子力からの脱却を目指すことでしょう。

 最近脱炭素社会という言葉が独り歩きしています。人類の未来は脱炭素を成功しなければ来ないという概念です。これはエネルギー問題です。 原子力からの脱却もエネルギー問題です、それだけではなく戦争と平和に関する最も重要な問題です。原子力エネルギーが使われる以上、核兵器は生産され続けます。なぜならば原子力エネルギー自体が大量破壊兵器、大量殺略兵器として戦争のために生まれてきた概念だからです。

 人類はダイオキシンが発がん性物質であり、最も危険な毒物であると認識した時、脱ダイオキシンを決断し行動に移しました。フロンガスが生物を紫外線から守るオゾン層を破壊するという事実を知った時、フロンガスを使用禁止にしました。多分人類は脱炭素社会も成功するでしょう、それは人類が生きるためによりよい生活のために生まれてきたものだから、そうでないことが認識された段階で禁止されたのです。ただし戦争のために生まれてきた核兵器を作るためでもある原子力は、どんなにコストが高くても全生物を破滅に追いやろうとも禁止できないのは、そもそも戦争のための悪意という概念から生まれたものだからです。

 原子力サブカルチャーを作り続けた人々、そしてこれからも続け叫び続ける人々達、人類と生態系を守ることを願うすべての人達こそ核兵器禁止条約のノーベル賞の影の立役者です。

 最後になりましたが、日本も少しでも早く核兵器禁止条約に署名することを願います。核兵器禁止条約には原子力からの脱却も包括されています。

 世界中の人々が恐怖も欠乏もない、平和な暮らしを送る権利を持っているということを確証するため。