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『韓国自然美術』私的認識の一到達点 -YATOO「野投」創立40周年に想う事-

木村勝明

コロナ・パンデミックの韓国に行くことも容易でなくなったこの時期だからこそ、1995年から始まった私的な韓国の美術との交流が思い出される。2020年の錦江自然美術ビエンナーレとGNAPの展示、コロナ・パンデミックと自然美術のシンポジウムなど、S N S で限定的だが見て、Ko.Sung-Hyun氏が「ビエンナーレ美術館」の創設について呼びかけていることを知って、なるほど此処まで来ているのか?と感心したものだった。勿論、毎回その一環した企画も予算や組織の側面を組織して最終的にはカタログのような印刷物に成果をまとめるという事の積み重ねがある。それをどう発信していくのか?そうしたすべての総合的プロデュースを必要とする。並大抵の事ではない。そしてGNAP(グローバル・ノマディック・アート・プロジェクト)は今までの世界のランドアート・自然美術のネットを生かして、世界各地で展開したわけである。これは韓国の文化予算の大きさと、それを実際に活用する才覚と実現可能な企画力・組織力を必要としている。ヨンミサン自然美術パークの様子や、自然アートセンターのシンポジウムを、学者・政治家・美術評論家など組織して実施した様子は、その細かな内容はわからずとも、充分その実力に呼応したものであることが直感される。

 地球環境の温暖化やパンデミックの問題も環境への人類の活動の破壊があって、自然をテーマにするこの美術運動の目指すものが、環境とのバランスなのであって、人類的な問題とリンクした芸術運動と言えるだろう。したがってグローバルな視野こそ彼らにはお似合いと言えるのだろう。そういう意味でも、YATOO創立40周年に「自然美術ビエンナーレの美術館を!」という呼びかけは、的を射た目標だな~と思う。文化予算が日本と比較して充実している韓国の文化シンボルの一つになり得るし、古代には百済の都があり、今は首都移転計画の世宗市が公州の隣接に建設されつつある地の利もありそうだ。