日本の絵本100年の歩み
開館40周年の4回目の「ちひろ美術館・東京」の催しを見ることができた。昨年の第70回記念日本アンデパンダン展:特別企画展「春を待ち、闘った、激動の60年代美術」に、ちひろさんの「世界中の子どもみんなに平和としあわせを」(1970年作・全紙)を出品いただいたときから早1年近くが経過していた。私たち日本美術会から見ると大先輩にあたるいわさきちひろさんは、2018年に生誕100年を迎えます。
ちひろ美術館開館40年で、「安曇野ちひろ美術館」も会場内のビデオ映像で見て、広い会場は地域の村おこし的な活動も見ることができ、絵本という媒体の大きな影響力と、東京から遠い長野安曇野にもその活動拠点が広がっている状況は、企画展-「日本の絵本100年の歩み」の開催とともに、日本の絵本と児童文化への小さくない貢献に思いを馳せざるを得ない。
ちひろさんの才能はどこから来て、どこに花開いたのか。詳しく論ずるのは研究者の論考を待ちたいが、その大衆的な広がりについては多くの方がすでにご承知だろう。すでに国民的な愛すべき画家になっていて、日本美術会の中から誕生したのですよ!と言いたいところだが、すでにそういう次元を超えている。評価というものはそういうもので、会派とかどのグループに居たとかどうでもよい事なのだ。ちひろがどういう時代を生き抜き、その時代に悪戦苦闘しつつも、そうした大地から美しくも独特で繊細な花を生み出し、それを印刷媒体である絵本という形で広い人々に提供し、愛された、ということなのだ。
「ちひろの歩み」の彼女の若いころから成熟する過程の愛すべき作品を見ながら、またアトリエの再現の間を見ながら、アルバムなども見つつ、そんなことを考えたのだった。会場には若い女性の方々が多く、ちひろの絵を見てそだった人達なのだろうな~と思う。
(編集・木村)
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