筑波国際野外現代芸術展での出会いーFATHER SKY MOTHER EARTH  父なる空 母なる大地ー 

菱 千代子  ひしちよこ (日本美術会会員)

Helena Marika Ekenger (Sweden)
Helena Marika Ekenger (Sweden)

 これは2017年11月3日~12月5日の約1か月間筑波山の中腹にある、キャンプ場「つくばふれあいの里」で開催された野外展で、今年で4回目になる。

 参加作家はまさに国際的で、次の国々から来ている。

 ブルガリア、カナダ、中国、イギリス、インド、韓国、モーリシャス、ポーランド、ルーマニア、スエーデン。そして日本からは4人の「物派」の作家たちと10名前後のボランティアが参加している。主催はつくばアートセンターであり、後援団体としてつくば市・つくば市教育委員会・茨城県・茨城県教育委員会が名前を揃えているが予算面での支援は特に無いので、運営はかなり厳しいとのこと。NPO法人「華の幹」、ふれあいの里、筑波山麓秋まつりの実行委員会も協力体制をつくってくれているようだ。インフォメーションセンターのギャラリーにはアールブリュット系の作品の展示があり参観者の心を和ませていた。

 

Akiko Nakayama (JAPAN)
Akiko Nakayama (JAPAN)

 「父なる空 母なる大地」と銘打っていて、自然、直観、即興、芸術がキーワードだ。

 11月3日のオープニングイベントでは正にそれを総合したような面白いプログラムが組まれた。新しもの好きの私も初体験だったのでおおいに刺激と感動をいただいた次第である。それはまず3人のジャズメンの即興演奏から始まった。不破大輔のベース、高橋靖之のトロンボーン、池澤龍作のドラム、によるクールな演奏である。これに加わるのが現代美術でも若手である中山晃子の即興パフォーマンスによる映像作品である。見ている鑑賞者はギャラリーの壁いっぱいに拡大された映像のドラマに釘づけになる。大画面のヴィジョンはまるで航空写真か宇宙生成の瞬間を捉えたもののようにダイナミックである。

 しかし制作の現場は思いのほか小さく、菓子箱1つ位の大きさであり、まわりの材料や顔料の置かれた空間を入れても1メートル四方ほどだ。機械類も撮影用のデジタルカメラと拡大用のプロジェクターだけで、照明も携帯電話のフラッシュを時折使う程度である。

 あまりの面白さに制作途中の作家さんの脇にへばりついて観察した。絵の具は粉状のものから、ゲル状、液体まで様々であるが、すべて一般の画材屋で手に入るものを使っているとのこと。スクーリーン状で爆発的効果を示す発泡性の物質については化学変化を予想して準備しているらしい。絵の具以外にも砂や泥、ガラス、金箔、銀箔なども用意していたようだが、今回はあまり使われなかったようである。画面の変化を早めるためには液体染料を多く使い、さらにその舞台である缶を急角度に傾けてスピード感を強調する。

 いやはや驚いた。たった一人で天地創造のイメージを出現させるなんて。

 

 中山さんは造形大学の出身であるが、近じかテレビでの取材・放映も予定されているそうだ。後で聞くと、すでに海外でのレジデンスによる大掛りなイベントでオーケストラとの共演も実現し、六本木ではプロジェクションマッピング形式での、イベント等にも応用されているとのこと。若さと新しさを象徴する作家の代表として注目していきたい。

Takashi Ikezawa (JAPAN)
Takashi Ikezawa (JAPAN)