原子力サブカルチャー5

村田訓吉むらたくによし
(日本美術会会員)

 2016年の原子力サブカルチャーにはこれを書かない訳にはいかないですね。シンゴジラには賛否両論がありますが、個人的には放射線廃棄物を食べて進化した生物という設定は、ある意味ほぼ以前と同じ設定だと言っても過言ではないと、まず感じ安心しました。

 原爆から原発へと変えた現在の日本の状況を映画の中で表すことによって、単なるエンターテインメントで終わらせたくないという意識を強く感じます。進化する設定は、最後には人になるというプログラムが組まれていたのでしょう。それはある意味ゴジラが人によって作られた、負の遺産である核エネルギーを意識させるには十分な表現でした。

 

 ただ現実は更に恐怖が拡大しています。オバマ大統領が広島に来て原爆投下の否を認めずに帰る、それを喜ぶ多くの日本人。それを認知するが様に日本は今まで対応を遅らせていた核兵器禁止条約に、なんと反対を宣言しました。これはオバマ大統領が広島に来て原爆投下の否を認めなかったことを日本が認めたのですから、実は当然の行動なのであると言う事を認識しなければいけません。

 

 日本中にある原子力発電も、アメリカの後押しで進められた原発政策です。原爆を落とされ地震大国に最も危険な原発を推進させたのはアメリカです。放射線廃棄物の違法廃棄は続くだけでなく、実際福島では垂れ流し状態です。そしてその事故処理の対策費まで政府は国民に払わそうとしています。原爆と原発は一字違いですが、原発は原爆の製造工場でもあり、敵地においては攻撃目標になる最大の原爆でもあります。福島民間事故調の委員長であり原子力規制庁を作った、故北澤宏一先生は、最も怖いのがテロだと言ってました。「すべての周辺の全電源設備を破壊すれば原発は必ず暴走する。」「安全な原発など無いんだ、安全対策はいつも経済の許す範囲内のものであって、本来の安全対策はされていない。」とおっしゃっていました。故北澤宏一先生がなくなった後、原子力規制庁は態度を変え、現在各原発で再稼働を認可してきました。

 

 日本はこのままでは核廃棄物処理場になっていくでしょう。そうです、日本人こそがあのシンゴジラの尻尾に現れた人だったのではないでしょうか?これからもゴジラは作られてくるでしょう。原爆から原発、アメリカゴジラも原爆と原発を関連させて表現していました。実際核兵器禁止条約には原発禁止も包括されているという人もいます。そういう意味からでも日本は原発推進の政策を変えないためにも、核兵器禁止条約に反対せざるをえなかったのでしょう。ですがこれは、広島・長崎の原爆で亡くなられた人々と、福島原発事故にあった人たち、今までの多くの闇に葬られた原発関係者の健康被害や魂に対して拭っても拭いきれない酷い陵辱以外なにものでもありません。次のゴジラは核兵器禁止条約のアピール映画になるような辛辣な映画になって欲しいと心から願います。

 

 また2015年に公開された増山麗奈監督の「サダコの鶴」は関係者全員が核兵器禁止条約アピール映画として各地で公開を繰り返しています。2016年では映画館での上映もできました。ぜひ皆さんも見てくださるとうれしいです。

 

 気候変動、温暖化問題、それらは化石燃料によって起こされることが明らかになっていますが、それを原発推進派のデマだ、新たな利権構造支配だと言っている人がいます。それこそが根も葉もないデマです。COPと呼ばれる環境問題の会議は、気候変動だけでなく生物多様性条約もあり、地球と人類の存続を考えられて進められています。これらの考えには化石燃料だけでなく原子力も禁止していくという方向で動いています。また国際条約は国連主体で限られた人たちの利権のシステムだという人もいますが、それこそ国連崩壊を目指すための陰謀です。実際国連にも問題はあります。しかし第2次大戦が日本などの国の国際連盟脱退から始まったことを認識しましょう。国連は白でも黒でもないのです。あくまでグレーなのです。どちらにつくかではなく沢山のいろんな国家が議論、検討した後、批准した国の会議の中で国際的な示唆を作り出すところなのです。核拡散防止条約は、もう意味を持たなくなってしまった現在では、もう核兵器禁止条約を実行に移すしか無いのです。

 

 サブカルチャーとはだいぶずれてしまいましたが、原子力を取り巻く2016年の現状として認識していただき、原子力サブカルチャーを考えていくことがこのテーマを追っていくために最も必要なことです。その為には人権と環境と平和はワンピースだという概念の中で、化石エネルギーと原子力の脱却を目指していくことが最も大切です。地球と人類の存続のために原子力サブカルチャーも奇跡の目覚めの軌跡を続けていきます。


村田訓吉むらたくによし( 日本美術会会員)

 

1974年から何度か呼び方は変わりましたが、愛と平和と地球と子ども達の再生可能な未来と言うコンセプチュアルアート製作継続中。

NUC IS OVER GO GO GO。