ドイツ語で、Maler という言葉は、ペンキ屋、あるいは画家を意味します。ペンキ屋というのは、住居の壁、天井、床のペンキ塗りから、広告板制作などの仕事をする人で、彼らは「作品」という言葉を使いません。画家というのは、紙やキャンバスの上に描き、色を塗り、それを「作品」として発表し、売る仕事をする人です。けれど、たいていの画家は「作品」を作ることはなんとかこなしますが、これを売ることはまるで下手と言えます。 作品を売る仕事をするのが画廊で、自分のための画廊を探し出せない画家は、ペンキ屋になるしかありません。画廊主というのは独自の絵画観の持主で、画家の作品を選別します。どの画廊も相手にしてもらえない画家は才能なしに絵を描いているか、あるいは不世出の天才的画家のいずれかです。