常田 健 土蔵のアトリエ美術館   

~リンゴ園の小さな美術館~  岡田 文



常田健は青森・浪岡に生まれ89年の生涯のほとんどを、この地で米とりんごを作り、画を描いて過ごしました。若い頃は、戦前の二科会に出品したりしましたが、戦後は公募展には出品せず、作品の主な発表の場は、青森美術会の「青森平和美術展」と日本美術会の「日本アンデパンダン展」だけでした。自分の生活を描くこと、これが常田健の生涯のテーマでした。生活すなわち農作業、そして仕事は画を描くこと、と捉えていました。


人に見せるためでも売るためでもない画の制作は、制作期限がありませんから描いたものをしまい込み、時々出して見てはまた筆をいれるという繰り返しでした。古い納屋の二階にしまい込んだままの油絵の保存状態を心配して、地元の有志が美術館建設運動を立ち上げましたが、本人が亡き後様々な問題が生じ、遺族が引き継いだ形で美術館を建設しました。

『常田健 土蔵のアトリエ美術館』は、2005年5月に仮オープンという形で開館しました。昨年より月に8日間開館できるようになりましたが、はじめの3年間は開館日が月2回だけというスタートでした。それにも拘らず、青森県内はもとより遠くは関東・関西・九州からもお客様がおいでになってくださいました。


美術館は画を展示している新しい建物の「展示館」と、常田健が栽培していた「リンゴの畑」、最後まで使っていた古い「土蔵のアトリエ」の3つから成り立っています。展示館は油絵30数点とデッサン、スケッチ帳等を展示しており、土蔵のアトリエは常田権が生前使っていたそのままの状態を見ていただいています。展示館から土蔵のアトリエまでリンゴ畑の中を通って、四季折々のリンゴの木を眺め、津軽の風と空気を感じながら歩いていただき、特に街からおいでの方々に喜ばれております。展示館の画は、毎月ボランテイアが集まり季節に応じたテーマを決め、テーマに合わせて架け替えて、月ごとに違う画を見ていただけるようにしています。


開館日は、原則として第2週と第4週の木曜日から日曜日までです。
ただし、5月は連休と第4週の木曜日から日曜日。8月はねぶた祭期間の3~6日と、お盆の13~16日。11月は第4週の土日。12月は第2週の土日。1月は成人の日を入れた3連休、2月は休館、3月も第4週の土日。変則的な開館で、皆様にはたいへん申し訳ないと思いますが、現在の状況ではこれで精一杯ですので、ご理解いただきたいと思います。

開館日以外の日でも事前にご連絡いただければ、できる限り対応いたしております。(℡0172-62-2442)急にお出でくださっても、他の作業や不在で対応できない場合がありますので、ご承知くださいますようお願いいたします。

「絵なんか見たってわからん。」と言いながら、娘さん夫婦に誘われて入ってきたお父さんが、見てまわっているうちに「これなら俺にもわかる。昔こうやって働いたもんだ。こんど友達も連れてきてやろう。」と言って帰って行ったことがありました。田の草取りをしている農婦を描いた画の前で、若い頃の農家の嫁のつらい労働を涙ながらに語った老婦人もいました。

展示館と土蔵のアトリエには、来館された方々に自由に意見や感想を書いていただくノートを置いていますが、そのノートに、「健さんありがとう。農業頑張ります。」と、書いていった若い新規就農の方もいました。これまで美術館にあまり足を運ぶことのなかった人たちが、画を見に来たことをきっかけに絵画に親しんでいただければ、それも美術館の役目のひとつではないかと考えます。

また、生誕100年を迎える2010年に向けて、青森市内を中心にサポーターが『常田健生誕100年委員会』を組織し、パネル展を開くなどPR活動を行っています。2010年春には、「青森県立郷土館」で生誕100年記念の展覧会を開くことが決まっています。

こうしたサポーターの方々、展示替えのために集まってくださるボランティアの方々、大きな人々の輪が広がっていることを、頼もしく、たいへんありがたく思っております。

このたび、常田健が永年にわたりお世話になりました「日本美術会」、その機関誌『美術運動』に掲載の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。

終わりになりましたが、日本美術会の益々のご発展と、会員の皆様のご健勝をお祈り申し上げます。併せて、会員の皆様の当美術館へのお越しをお待ち申し上げております。                 

        (おかだふみ・常田健 土蔵のアトリエ美術館館長)

 

土蔵のアトリエ・公開しています
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土蔵のアトリエ美術館ギャラリー
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常田健土蔵のアトリエ美術館HP

http://www.ken-tsuneda.com/